モンテッソーリ教育でよく聞く「提示」ですが、専門用語のようで難しいイメージがありますよね。
この記事では、一見分かりづらいモンテッソーリ教育の提示とは何か、正しい提示の仕方や手順を分かりやすく解説していきます。
せっかく提示しようとしても、子供が見ない時もあり困ってしまうこともありますが、
その場合はどう対処したらいいかも、私自身の実体験を合わせてご紹介します。
もくじ
モンテッソーリ教育の提示とは何?
モンテッソーリ教育では、子供には潜在的に自己教育力があると言われています。
そのためモンテッソーリ教育では、子供が自己教育力を発揮するために環境を整えることが大人の大きな役目であるとしています。
モンテッソーリ教育の教材(教具・用具)類や環境を整えるのは非常に大事なことですが、
それだけでは子供がその教材をどう使うのかが分からず、使いこなすことができないので、自由選択をすることには結びつかないんですね。
子供が与えられた環境を最大限活用し、自立に向かうために「その環境をどのように使うのか」を教えてあげることが、モンテッソーリ教育における大人の役割「提示」となります。
提示は、何でも大人の真似をしたい!という「模倣期(もほうき)」にある子どもたちのモデルとなります。
モンテッソーリ提示の仕方と手順
子供に誘いかける
子供が積極的に取り組みたくなるように、お仕事一緒にしよう!と声掛けをします。
この時にもし、
と言われてしまっては、内心ガックリしてしまうと思いますが、
わざわざやらせようとすると逆効果になってしまいます…
そのお仕事に興味がないのではなく、たまたまその時、やりたくないムードだったのかも…
と割り切って、また別の機会に声掛けしましょう。
自分の子供の場合には、子供が今どんなムードかも判断しやすいと思いますので、
機嫌が良い時を狙うのがおススメです!
作業名・教具名を伝える
次からは自分ひとりで作業に入れるように、その教具や用具がどこにあるのかをきちんと伝えます。
自発的に、その教具や用具を自由選択して、作業に取り掛かれるように伝えておきます。
場所を指定・設定する
そのお仕事を行う場所を特定してあげます。
机の上なのか、じゅうたんの上なのか、水回りなのか…
理想はその教具・用具が配置されている場所からほど近い場所に作業スペースがあることですが、
どのお仕事を、どこですればいいのか、があらかじめ子供にも明確に伝わっていれば、
あとあと親としても、物が散らかったりしないので楽ですよね。
用具・教具を運ぶ
どこでお仕事をするかも大事ですが、その用具・教具をどのようにして運ぶのかもしっかり教えることが大事です。
どこに配置してあって、どのようにして運ぶのかが分かれば、私たち親に依存することなく、
子供が思い立った時に自ら行動できますよね。
模範提示をする
お仕事の準備ができたら、その用具や教具をどのようにして使えばいいのかを子供の目の前で提示していきます。
ゆっくり、分かりやすく提示して、子供が「自分でもやってみたい」と思わせるのが狙いです。
子供が「面白そう!やってみたい!」と思えるような「興味の中心」がどこにあるのかを意識しながら、子供の注意をひくようにゆっくり提示したりして、上手く誘導してあげましょう。
例えば珍しい音が鳴ったり、子供にとって意外な展開が起きたりするところが、一番興味を引き付けやすいポイントとなります。
一通りの行動を見せて、子供がやりたくてウズウズしているようだったら「やってみる?」と優しく誘ってあげましょう♪
おうちモンテッソーリで提示を見ない時の対処法は?
分析行動をする(速すぎて分からないのかも)
子供の行動スピードは、なんと大人の8倍も遅いと言われています。
なので、大人がいつも通りのスピードで提示してしまうと、子供にとっては高速再生されているかのように感じてしまい、全く伝わっていないということもあります。
理解するのが難しすぎて、やる気も無くなってしまう…という感じですね汗。
親にとってこれが一番難しい部分だと思いますが、「分析行動をする」というのが一番大切になってきます。
分析行動とは…?
一連の行動を流れるように見せるのではなく、
一つ一つの行動を切り取って、ゆっくりと子供が理解できるスピードで提示します。
例えば、
- 用具に手を触れる
- 用具を持ち上げる
- もう一つの手で支える
- 両手で傾ける
- そうっと置く
このように一つ一つの行動の間に間をあけることを意識して、
ゆっくりゆっくり見せていくのが大切です。
大人でも何かを習得しようとしてじっくり見たいなというとき、動画をスローモーション再生して繰り返し見る時がありますよね。
そんな感覚と一緒です!
利き手側で提示する
もしかしたら提示する場所によって、その提示がはっきりと伝わっていないので、集中力が切れてしまっているのかも知れません。
お子さんの利き手側に座って、提示をするようにすると効果的です。
そうすることで、私の右手の動作も息子は全て見ることができます。
右に座るのか、左に座るのかによって、全然視界が異なりますので、試してみるとびっくりしますよ♪
やるかやらないかは子供に任せる(一緒に片付ける)
大人は一緒にお仕事をしようと誘い掛けますが、モンテッソーリ教育で一番目指すべきなのは「自立」であり、そのために自由選択させることが大事です。
なのでその大人が誘ったお仕事を必ずしもその場でしなければならないのではなく、
やるかやらないかの判断はあくまで子供自身に委ねなけれなならないんですね。
せっかく誘ったのに、提示も見てくれないし、興味も持って貰えないと悲しくなってしまいますが(笑)
ここはグッと我慢して、また次の機会に誘いましょう。
一度取り出したのにも関わらず、途中で興味が逸れて提示を見なくなったら、
などと声をかけて、仕切り直しましょう。
一緒に元にあった場所に用具・教具を戻して、片付け方も教えておきます。
根気よく提示を繰り返す
せっかく準備した教具や用具なので、親としては子供に是非使って欲しいですよね。
機会を改めて、再度子供の機嫌が良い時に誘ってみましょう。
うちの息子も提示をしっかり見届ける前に
と私の手から用具を取ろうとしますが、
と根気よく伝えるようにしています。
子供の意欲が高いのは良いことですが、なかなか最後まで提示を見てもらうのは最初は難しいです。
提示をしっかり見ることで、正しくお仕事ができるようになる、と分かってもらうためにも、
根気よくゆっくり提示することを繰り返す必要があると思います。
モンテッソーリの提示の仕方まとめ
モンテッソーリ教育の「提示」の仕方と手順についてご紹介しました。
専門用語のように捉えると難しく感じてしまいますが、案外シンプルでしたよね!
- 「提示」は模倣期のモデルとなる大切なプロセス
- 「自分でやってみたい」と思わせるためにゆっくり提示する
- やるかやらないかは、あくまで子供自身が判断する
ゆっくり実践して見せることを意識して、根気よく提示をしていきましょう!